RSウイルスワクチン
<RSウイルス感染症とは>
RSウイルス感染症はRSウイルスにより引き起こされる呼吸器感染症です。
RSウイルスは2歳までにほぼ100%が感染し生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返しています。
<RSウイルス感染症の症状と経過>
成人の方の多くは軽症で発熱や鼻汁・咳の症状が現れます。
一部の方は気管支炎や肺炎になることもあり、喘息やCOPDなどの基礎疾患の増悪の原因となることもあります。
RSウイルス感染症は高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患など)、免疫機能が低下している人の場合重症化リスクが高いとされています。
基礎疾患のある方がない方に比べRSウイルス感染症による入院率は下の表の倍率だけ上昇しているとの報告があります。(Branche AR et al :Clin infection Dis 2022;74 (6) ,1004-1011)
基礎疾患 | 年間入院上昇率比(倍) |
喘息 | 2.0 ~ 3.6 |
COPD | 3.2 ~ 13.4 |
糖尿病 | 2.4 ~ 11.4 |
冠動脈疾患 | 3.7 ~7.0 |
うっ血性心不全 | 4.0 ~ 33.2 |
<治療と予防>
成人におけるRSウイルス感染症には直接的な治療法がありません。
ウイルス感染のために抗生物質も効果ありません。
軽症の場合:解熱鎮痛薬、水分補給
重症の場合;必要に応じ酸素投与、輸液、呼吸器管理
予防としては感染対策の基本であるマスク・手洗い・うがいが大事になってきます。
また、60歳以上の方はワクチンによる予防接種が可能(2024年1月に承認され発売開始)です。
自費での接種となり当院では30,000円(税込)で接種しております。
<RSウイルスワクチン>
(投与方法と回数)RSウイルスワクチンは筋肉注射を1回行います
(予防効果)RSウイルスワクチンによる効果は60歳以上で82.6%であり基礎疾患がある60歳以上で94.6%でした。(国際共同第Ⅲ相試験 RSV OA=ADJ-006試験)
(副反応)注射部位の痛み(60.9%)、赤み(7.5%)、腫れ(5.5%)であり注射部位以外では頭痛(27.2%)、筋肉痛(28.9%)、披露(33.6%)、発熱(2.0%)、関節痛(18.1%)