痛風
- 院長コラム
ここ最近、新型コロナウイルスも落ち着いてきており(オミクロン株が出てきておりますが)、少人数での忘年会や仲間内での飲み会をする人々も増えてきています。
冬の忘年会、飲み会ではビールを沢山飲む人や白子やイクラなどのプリン体が多く含まれた食べ物も美味しい時期になりました。
今回は尿酸値・痛風の話をします。
☆尿酸はプリン体の代謝産物
尿酸は「プリン体」という物質が体内で分解されてできるものです。
プリン体は細胞の中にあるもののために動物・植物いずれの食品からも体内に入ります。
これらのプリン体は主に肝臓で分解され尿酸となり、一時的に体内に溜め込まれた後、尿・便として排泄されます。
☆痛風の痛みの原因
尿酸は血液中に溶け込んでいますが溶け切らない過剰な尿酸が結晶化して関節にたまります。運動などをきっかけに尿酸塩結晶の一部が関節液中に剥がれ落ちるとそれを敵とみなして白血球が集まってきます。白血球が攻撃を始めると炎症物質が放出され痛みを感じます。
☆尿酸値は6.0以下に
痛風発作を抑えるには尿酸値を6.0以下に抑える必要があります。尿酸の血中濃度を下げなければ関節内に溜まった尿酸塩結晶は溶けません。
尿酸値9~9.9 (mg/dL)で痛風発症率は19.8%、10.0 (mg/dL)以上では30.5%と言われております。(Campion EW et al : Am J Med 82(3):421-426, 1987)
尿酸値が7.0 (mg/dL)を超えた状態が高尿酸血症です。
☆尿酸の増えるタイプは3タイプ
1日に体内で産生される尿酸はおよそ700mgであり、1日で排泄される量も700mgなので体内の尿酸は常に一定の量に保たれております。
尿酸が体内で増える人は「排泄低下型」、「産生過剰型」、「混合型」の3タイプに分かれております。
☆高尿酸血症の合併症
高尿酸血症が長期化すると尿酸が結晶化し関節に溜まれば痛風発作を起こすリスクが上がり皮下組織に沈着すれば痛風結節というコブのようなものを作ります。
また、腎臓の中に沈着すると腎臓の機能低下を引き起こします。
☆予防
尿酸値が高くならないためには
①摂取エネルギーの抑制
②節酒
③1日2リットル以上の飲水
④適度な運動
⑤ストレスのない生活
を心がけましょう。
プリン体の摂取は1日400mgまでにしましょう。
以下にプリン体含有量の一覧を載せます。(資材提供:株式会社三和化学研究所)
☆治療
万が一痛風発作を起こしてしまった場合はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:ロキソニンなど)を使用します。
高尿酸血症と診断された場合は尿酸生成抑制薬(ウリアデックなど)や尿酸排泄促進薬を使用していきます。
年末年始の美味しいものをたくさん食べる時期に尿酸値が気になる方は一度採血でチェックしましょう。