麻疹(はしか)
- 院長コラム
<麻疹(はしか)>
【概念】
Paramyxoウイルスの一つである麻疹ウイルスの空気感染により生じる疾患。不顕性感染(ウイルス感染しても感染症状を発症していない状態)は極めて少なく95%以上が発症する
【臨床像】
- 潜伏期:10〜14日
- カタル期:2〜3日の発熱とともに咳・鼻汁・くしゃみ・目の充血・眼脂がみられ、口腔内に特有の斑点(Koplik斑)が見られる
- 発疹期:解熱後、再び発熱が見られ耳の後ろや頸部・顔面・体幹・四肢に麻疹特有の発赤が見られる
- 回復期:徐々に解熱し発赤も退色、一部色素沈着を残し7〜9日で回復する
- 伝染力はカタル期〜発疹初期にかけてが最も強い
- 生後6ヶ月までは母体からの受動免疫により罹患しない
- 発疹が発症してから4日間、または解熱した後3日を経過するまでは登校禁止
【検査】
白血球減少・リンパ球減少・好酸球減少、胸部レントゲンにて間質性肺炎像を呈することがある
【合併症】
中耳炎(約10%程度)、間質性肺炎、脳炎、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)
【治療法】
特異的な治療方法はなく症状に応じた対症療法が中心となります
【予防法】
麻疹ウイルスの直径が100〜250nmと小さく、空気感染するために通常のマスクでは予防することが難しくN95マスクを使用。
麻疹ワクチンによる予防接種が効果的
【麻疹ワクチンについて】
麻疹ワクチンは2回打つことにより1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに免疫をつけることができます。(母子手帳でワクチン接種回数をご確認ください)
また、1回麻疹に感染し発症したことがある場合は生涯に渡り免疫が維持されると言われています。そのために追加の予防接種を受ける必要はありません
麻疹ワクチンは生ワクチンのために妊娠中の方は接種できません
- 2000年4月2日以降に生まれた方
- 2回接種している可能性が高いです(1回目:1歳〜2歳、2回目:5歳〜7歳)
- 1990年4月2日〜2000年4月1日生まれの方
- 特例措置として2008年から2013年にかけて2回目の追加接種が実施されています
- 1972年10月1日〜1990年4月1日生まれの方
- 定期接種として1回しか接種していない年代です
- 1972年9月30日以前に生まれた方
- 1回も接種していない可能性が高い年代です
当院では麻疹ウイルス抗体検査、麻疹ウイルスの予防接種を行っております(予約制)
抗体検査: https://yamakawa-clinic-09.com/2024/03/13/859/
予防接種: https://yamakawa-clinic-09.com/internal-medicine/#link23
現在、麻疹ワクチンの納入時期が未定となることがございます。ワクチンは小児の定期接種を優先するようにと東京都医師会から通達がありました。
麻疹は一度感染すると免疫を持っていることが多いです。子供の時に知らずのうちに感染していることもございます。
そのために小児の定期接種以外で麻疹ワクチン接種希望の方は過去の接種回数にかかわらず抗体検査を実施し抗体がない方のみに麻疹ワクチンについてご提案をいたします。
定期接種の方への優先的なワクチン接種にご協力お願いいたします。